tsuyukusa's blog

心理学あたりのあれやこれや

自殺

日本社会の関係志向性が自殺者の多さにつながるのか?という指摘、質問がいくつもありました。

 

そうです。

 

先進国中日本はきわめて自殺率の高い社会でそういった意味で幸福度の低い社会です。

みんな一所懸命やっていて、そう悪気もなくやっているのに幸福が低い。つまりそれは一人一人の心がけの問題ではなく、社会のシステムであるということです。

 

指摘したようにまず減点主義ということがあります。防止焦点的で減点主義であれば、褒められる機会よりもけなされる機会の方が人生上圧倒的に多くなります。楽しくないです。けなされることが多いと学習上もけなされることを予期する予期不安が生じやすくなりますし、そういった懸念、心配が遺伝子上の傾向性と相俟って社会的に広がる。

 

失敗や欠点をつつかれることの懸念。何も変わらなく起こらなく無難が一番となるに決まっています。他者から頭が飛び出ない、「ふつー」であること、そういった視点で周りを見回して空気を読むわけです。ストレスフルです。

 

わたしたち教員の世界でもサバティカルで海外に行って帰ってくると異口同音に、海外の方がさばさばしていて暮らしやすい。日本は行き詰まるよう。と言います。

 

もちろん常勤的な仕事ではなくゲスト的な義務の薄さで一層自由な立場でサバティカルは過ごしやすいと言えますが、長年アメリカに住んで帰国してきた人でも、日本の「窮屈さ」はよく指摘されるところです。常に人の目を意識して配慮疲れしないといけない。いい意味で「放っておいて」くれない。

 

人のことは人のこと、ある意味人が何をしていても気にしない。

こういった心情が広がっていかないと、自殺高率社会からは抜け出せないと思います。

 

もちろんその一方で経済的側面での支援も重要ですので、安心して暮らせる社会保障、「失敗しても許される」セーフティネット、やり直しが効くシステムなど制度面でも「追い詰められる」ことを防ぐ工夫はいくらもありますから、そういった点からも自殺を減らす工夫はあると思います。