tsuyukusa's blog

心理学あたりのあれやこれや

ランナウェイと回帰

進化心理学の話です。

 

雌に選択される形質が極端化していきやすい条件として一夫多妻があります。ゴリラの社会では、相対的に大きなオスゴリラがメスゴリラから選ばれる蓋然性が高く、群れのなかで大きなゴリラがより多く繁殖し、またその子のなかから大きなオスゴリラが選ばれてまた繁殖する。これを繰り返すと進化プロセスのなかでゴリラのオスの体格はどんどん大きくなっていくと。そういったプロセスがランナウェイです。

 

ところで遺伝というもののなかで回帰の現象があります。身長がとても高い親から生まれるこどもの身長がより平均レベルに回帰しやすいという確率的現象があります。

 

単純にこれを並べると、大きい→もっと大きくなる

    一方   大きい → 小さくなる

と矛盾するように見えます。しかしよく考えると両立していることがわかります。

 

大きいゴリラの息子たちの身長は大きいなりに正規分布して、やや平均回帰したところを平均値として大きいゴリラも小さいゴリラも誕生します。息子全体の分布としては回帰しているわけです。しかし、そのなかで一番大きい者が選ばれたとして、その大きいオスが繁殖すると。 そうすると平均は回帰しつつもその分布の端にある大きいのが一夫多妻によってたくさん繁殖し、次代は平均的にはまた大きくなる。次の分布の平均値は前代の分布の平均値より大きい位置で分布してしまうわけです。そうやってランナウェイしていきます。